夜尿症
夜尿症とは?
夜尿症は、寝ている間に尿を漏らしてしまういわゆる「おねしょ」です(昼間も漏らしてしまう場合は遺尿症といいます)。5歳を過ぎても1か月に1回以上の夜尿が3か月以上続くものと定義されています。小学校にあがる時点で1割程度の子供が夜尿症であるといわれ、その後大部分は自然に治りますが、0.5%程度で大人になっても残ると言われています。
原因
夜尿症の原因は親の育て方のせいではありません。以下のような要因が重なって起こるとされています。
- 少ない膀胱容量:膀胱が小さく、夜間の尿を十分に貯められない。
- ホルモンの不足:夜間に尿量を減らす抗利尿ホルモン(ADH:バソプレシン)が十分に分泌されない。
- 神経系の未発達:排尿をコントロールするための神経系の発達が成熟していない。
- ストレスや不安:学校や家庭でのストレスが影響することがあります。弟妹が生まれたあとに再度夜尿が始まるなどといったこともあります。
診断
夜尿症の診断は、以下の方法で行われます。
- 症状の聞き取り:問診や排尿日誌などで症状の詳細を確認します。
- 尿検査:尿路感染症や他の異常を除外するために行います。
- 画像検査:先天的異常がないか膀胱や腎臓の異常を確認するために行うことがあります。
治療
- 生活指導:「起こさない」「怒らない」「焦らない」
- 夕方以降の水分摂取制限
- 夜間のトイレ習慣:寝る前に必ずトイレに行く。夜中に目が覚めたらトイレに行くよう促す。
- 賞賛による動機付け:乾燥した夜を褒めたり、達成した場合に小さな報酬を与える。
- 記録表の使用:乾燥した夜を記録し、進捗を視覚的に確認する。
- アラーム療法:尿が漏れる前にアラームが鳴り、起きてトイレに行く習慣をつけます。
- デスモプレシン:抗利尿ホルモンを補う薬で、夜間の尿量を減らす効果があります。
- 抗コリン薬:膀胱の過剰な収縮を抑えます。
まとめ
夜尿症は親の育て方が悪いということはありません。多くのケースでは自然に軽快します。しかし、夜尿症の存在は自尊心の低下につながることが報告されています。小学校にあがってからも夜尿症が残っている場合は医療機関への相談をおすすめします。治療介入することで夜尿症が治まるまでの期間が短くなると言われています。